ここ最近は、新型コロナウイルスに伴うテレワーク導入で働き方に大きな変化が生じている中、障がい者雇用も例外ではありません。通勤が困難な障がい者でも、オンラインを活用することで就業機会を大幅に拡大することができるようになりました。
障がい者雇用のテレワークで気を付けるべきこと
遠隔により円滑なコミュニケーションが難しくなる
最近は新型コロナウイルスをきっかけにテレワークへ移行する企業が増えてきました。しかし、準備もままならないままテレワークを開始した方も少なくないでしょう。テレワークは障がいの有無に関わらず慣れるまでは時間がかかるようです。
障がい者においては労働環境を整備するために密なコミュニケーションが欠かせません。
例えば、業務内容の確認をしたくてもテレワークでは表現が難しいケースもあり、「問題や悩みが発生しても一人で抱え込んで悩んでしまう」「確認したいことができず、不安を抱えて病状に影響が出てしまう」等といったトラブルが想定されます。
特に精神障がい者の方は一人で考え込んでしまう傾向が強く、うつ等の症状の再発に繋がってしまうケースもあると言われています。
管理者クラスだけでなく、通常業務の中でもオンライン会議を積極的に活用するなどして、障がい者の心の変化にも気づけるような環境整備が大事です。
テレワークでは業務が限定的になる
障がい者雇用において、障がい者に任せるための業務を上手く洗い出すことは非常に神経を使う作業のひとつです。
通常業務でも切り出せる業務が限定的になることが多く、時間がかかる作業ではありますが、さらに在宅業務となると最初は多分に業務が限定されることが予測されます。
そのため、既にテレワークを実施しており、障がい者へ切り出せる業務の見込みができた段階でテレワークを開始させることがベストです。
業務のフォローが難しくなる
在宅勤務では、コミュニケーション同様、業務のフォローが難しくなります。軽微な作業であれば直接フォローしたほうが正確で早い場合も多く、画面越しだと伝わりにくいことも考えられます。
そのため、会社に出勤していた時よりもサポートが難しくなり、フォローしている時間に多く割かれてしまう懸念もあります。
後述で紹介しておりますが、トライアル雇用を導入して様子を見ていきながら本採用に切り替えていくこともリスク回避につながります。
障がい者雇用におけるテレワークのメリット
障がい者雇用におけるテレワークは企業にとって大きなメリットがあり、CSRを果たせることや助成金を受けられることにとどまらず、より事業のパフォーマンスを向上させられる機会にもつなげられます。
就業機会が拡大する
テレワークでは、今まで意欲やスキルがあっても就業の機会が無かった方の働く選択肢が格段に広がります。
特に移動することなく仕事ができるので、今まで電車やバスによる通勤が難しかった方や郊外に住んでいた方には大きな機会となります。
職場環境によるストレスを軽減できる
これまでと異なり、テレワークでは就業によって生じる環境変化が無くストレスを軽減することができます。
特にコミュニケーションが苦手な方は人と話すことによる心理的負担も軽減できるので、非常に働きやすい環境となります。
また、バリアフリー設計されていないオフィスの場合は少し移動するだけでも非常にストレスの原因となりますが、その心配もなく快適な環境のまま就業が可能です。
就業場所による障壁がない
当初からテレワークの募集であれば、居住地や勤務地によって左右されることなく採用してもらえます。
以前のようにオフィスで仕事をすることよりも、テレワークの方が通勤時間を削減できて、肉体的・精神的な負担軽減につながるだけでなく、コスト削減も期待ができます。
障がい者のテレワーク採用で企業が取り組むべきこと
テレワークの採用基準を明確にする
オフィス勤務で障がい者雇用する採用活動と同様にテレワークでの採用活動を実施する前に、障がい者に任せる業務を洗い出して、採用基準を明確にする必要があります。
「洗い出した業務とスキルや経験がマッチしているか?」「自己の体調管理がしっかりできているか?」等といったことをテレワークに照準を絞っていくことで採用基準が明確になっていきます。
テレワークにマッチした業務を切り出す
オフィス勤務採用の時にも障がい者に任せる業務を切り出していきますが、テレワークの場合はさらに慎重な業務の切り出しが求められます。
切り出した業務がオフィスでは円滑に進められるが、テレワークではパフォーマンスが低下してしまうケースもあります。
テレワークに適した業務かつ障がい者も任せることができる業務を上手く切り出すには時間と労力を費やします。短期間で採用を進めたい場合には専門企業にアドバイスを受けるといいでしょう。
トライアル雇用で適性をチェックする
一定の採用基準や業務マニュアル等が揃った段階でトライアル雇用をしていくことで離職リスクを抑制できます。トライアルをする中で本導入時に想定される課題が浮き彫りになり、事前に対策を講じられます。
また、本導入の前にトライアルしておくことで、障がい者だけでなく、従業員の不安を取り除くことができ、余裕を持って本導入を迎えられます。
障がい者雇用を支援する機関や企業に相談する
テレワーク雇用を検討していると「障がい者雇用に関係なくテレワーク自体が初めてで何から進めればいいかわからない」や「採用活動を開始したがスムーズに進められない」等といった、採用活動前後で課題が出てくることがあります。このような場合は課題が大きくなる前に障がい者のテレワークについてノウハウがある専門企業へ速やかに相談されるといいでしょう。
さいごに
新型コロナウイルスの影響で企業が働き方を見直さざるを得ない状況となり、多くの企業がテレワークを導入し始めました。そして、障がい者雇用においてもテレワーク導入が注目され始めています。
この取り組みは企業がパフォーマンスを向上させるチャンスとなりえる可能性があり、また、これまで出会うことができなかった人材に出会える大きなチャンスとなりますので、ぜひ一度検討してみください。
優秀な人材を確保しやすくなる
障がい者雇用において障がい者を採用するにあたり、通勤経路やオフィス環境等、配慮しなければならない様々なポイントがあります。
一方でテレワークではあれば移動する必要もなく、オフィスも自宅のため今まで募集しても応募が無かったような人材に出会える機会を創出できます。
障がい者の法定雇用率が達成しやすくCSRを果たすことができる
上記のとおり、テレワークができる環境を整備することで様々な制限から解放され雇用の可能性は拡大します。
それに伴って障がい者の法定雇用率である2.2%のハードルも達成しやすい状況を生み出すことができます。
離職率を抑制できる
通常の業務ではコミュニケーション不足やサポート体制未整備により離職率向上に繋がってしまうケースが多いです。
その一方でテレワークは障がい者がエリアや環境に縛られず本当にやりたい仕事に就けるチャンスとなります。
そのことがモチベーションの維持・向上に繋がり長く働き続けてくれる可能性が高まります。