厚生労働省は、障がいのあるなしに関わらず、能力と適正に応じた雇用の場に就き、自立した生活を送ることができる社会の実現を目指しています。そして、企業の積極的な障がい者雇用を推進しています。
では、障がい者を本格的に推進するにあたって、どのようなポイントに注意していくべきなのでしょうか。
本記事では、障がい者雇用におけるミスマッチを未然に防ぐためのポイントや採用活動で気をつけるべきポイントを紹介していきます。
障がい者の採用はマッチングがより重要
企業と求職者のミスマッチが発生した場合、当然ながらせっかく時間をかけて採用しても離職リスクが高くなってしまいます。
企業側が求める人材や依頼する仕事内容だけでなく、障がいのある方のニーズも知る必要があります。
では、障がい者雇用でミスマッチを防ぐためには、企業はどのような準備をしておく必要があるのでしょうか。
ミスマッチを防ぐために企業が行う準備
企業が、障がい者雇用でミスマッチを防ぐために行っておくべき準備は、主に以下の4つになります。
それぞれ詳しくみていきましょう。
経営層が会社のビジョンを示す
障がい者雇用への取り組みは、会社全体で行わなければいけません。経営層から会社の方針やビジョンを伝えていくことで、障がい者雇用への取り組みが会社全体へ浸透していきます。
もちろん方針を示すだけで行動を伴わない口だけだと、従業員の理解を得ることはできません。
「なぜ障がい者雇用を行うのか?」「どのようなことを現場に依頼するのか?」等、経営層が道を照らして、障がい者雇用へ向けての舵取りを行いましょう。
受け入れ部署への配慮
障がい者雇用を進めていくにあたって、受け入れ部署への配慮が欠かせません。実際に障がい者を受け入れた場合、育成・指導や現場でのフォローアップを行うのは、受け入れ部署の従業員が担うことになります。
そのため、受け入れ部署への負担軽減を目的に、雇用が安定する半年程度を目安に就労支援機関や人材紹介会社による月1回程度フォローをされるといいでしょう。
また、事前に仕事の内容や担当者、管理方法を決めておくことで、採用後の負担を軽減することができます。
専門機関と連携を図る
障がい者雇用では、企業だけで進めるのではなく、関連機関と連携を図りながら進めていきましょう。背景としては、障がい者雇用を推進するにあたって、企業だけではフォローアップがこんなにケースが出てくるからです。
例えば、持病に関することや私生活における問題などは、企業だけで解決するのは難しい場合があります。
以下のような関連機関と連携を図りながら、障がい者雇用を進めていきましょう。
- ハローワーク
- 地域障害者職業センター
- 障害者就業・生活支援センター
- 就労移行支援所
- 人材紹介会社
職場実習の機会をつくる
障がい者と企業のマッチングのためには、面接だけでなく、職場実習の機会をつくることも大切です。職場実習を行うことで、相互理解が高まり、早期退職を防ぐことが可能です。
もしお互いに理解が不足し、短期離職につながった場合、障がい者は再度就職活動を行う必要があります。そして、短期離職してしまったら、再就職先へ短期離職の理由を説明しなければなりません。
企業側としても、短期離職につながった場合、再度採用するための時間とコストがかかってしまいます。
職場実習でうまく進んだ場合には、障がい者はスキルを活かして働くことができ、企業側としても戦力として期待ができます。
ミスマッチを防ぐためにも、採用だけに目を向けるのではなく、採用後のことも見据えて、職場実習を行うことは非常に効果的です。
障がい者を採用する上でのポイント
障がい者を採用する上でのポイントは、社会人としての基本的マナーがあることです。
採用にあたり、まずは社会人としての基本的なマナーを備えているかを確認しましょう。業務を行う上で基本的なマナーは、健常者や障がい者関係なく必要です。
採用の段階で基本的なマナーを備えていない場合は、採用後に指導していかなければなりません。
その場合は、障がいの特性としてできないのか、マナーをそもそも知らなくて出来ないのかの判断は難しいですが、注意するとともになぜマナーが必要なのかをあわせて説明していくことから始めていきましょう。
採用後に重要なポイント
では、実際に障がい者を採用した場合、採用後はどのようなことに注意すればいいのでしょうか。
採用後に重要なポイントは、以下の2点です。
通常業務の中でできることは任せる
職場定着のためには、障がい者向けに切り出した業務を依頼するだけでなく、通常業務の中で出来ることを任せていく必要があります。
通常業務を依頼すると、業務を覚えるのに時間はかかるものの、仕事を通して成長していき、会社として必要な戦力になっていきます。
会社の必要な戦力になることで、仕事への責任感ややりがいから、職場への定着率も高まります。
採用後のフォローアップ体制を整備する
採用後に問題が起こった場合に備えて、フォロー体制を整えておくことが重要です。どのようなフォロー体制が必要なのかは、関連機関からだけでなく、すでに障がい者雇用へ取り組んでいる企業から、以下のようなことを学べます。
- 障がい者雇用を取り組む上での注意点
- 障がい者雇用での離職の要素となる点
- 関連機関との連携方法
障がい者雇用を行っている企業から学ぶことで、自社でもスムーズに障がい者雇用へ取り組むことが可能です。
障がい者雇用の採用はどのように進めるべきか
では、実際に障がい者雇用を進めていくにあたって、どのように採用を進めていけばいいのでしょうか。
まずは、採用担当者の方が、障がい者雇用の事例や障がい者雇用の制度、支援制度などについて理解していくことが重要です。
社内で障がい者雇用を進めるためには、経営層や従業員の理解や協力が必要になります。そのためにも、まずは採用担当者の方が障がい者雇用に関する理解を深めて、社内へ共有していくことから始めていきましょう。
採用担当者の方が障がい者雇用を理解した次のステップとしては、求人条件を決めていきます。
求人条件は、通常の採用と同じ以下のような項目を決めていきます。
- 仕事内容
- 配属部署
- 労働時間
- 給与
ただし、どのような仕事をお願いしていいのか、給与はどれくらいに設定したらいいのかなど、不明点も多いと思いますので、ハローワークや支援機関、人材紹介会社等に相談しながら決めていくとよいでしょう。
さいごに
本記事では、障がい者雇用でのマッチングのズレを防ぐためのポイントや採用で気をつけるポイントについて解説してきました。
障がい者雇用は、社会全体として取り組むべき課題のひとつです。
障がいのあるなしに関わらず、能力と適正に応じた雇用の場に就き、自立した生活を送ることができる社会の実現を目指していきましょう。